介護離職の防止に向けて

少子高齢化の進展、単身世帯や夫婦のみ世帯の増加

●高齢化の推移と将来推計(平成28年版高齢社会白書より)

我が国の総人口は平成27年10月1日現在1億2,711万人、65歳以上の高齢者人口は3,392万人で高齢化率は26.7%。4人に1人は65歳以上の高齢者となっています。

●家族形態別にみた65歳以上の高齢者の割合(平成28年版高齢社会白書より)

65歳以上の高齢者のいる世帯は増え続けており、平成26年では全世帯の46.7%を占める。

又、65歳以上の高齢者について子どもとの同居率をみると40.6%、単独世帯、夫婦のみ世帯は55.4%となっており、半数以上が独居又は夫婦のみで生活している状況です。

現状全国的に高齢化が進んでおり、4人に1人が65歳以上の高齢者となっています。

又、高齢者世帯の家族構成をみると、半数以上が独居又は夫婦のみで生活している状況をみると、今後もし親世代のどちらかに介護が必要になった場合、遠距離介護や同居の可否判断が必要な事態に陥る可能性が高いのが現状です。

家族の介護は突然に・・・

厚生労働省「国民生活基礎調査の概要」によると介護になる原因は構成割合の高い順に、脳血管疾患(脳卒中等)、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患(リウマチ等)、心疾患などとなっています。

 

要介護度別に介護が必要となる主な原因を見てみると、下記の表のような状況です。 

出所:(厚生労働省「国民生活基礎調査の概要」平成25年)より

 

このうち脳血管疾患、骨折・転倒、心疾患などは突然に起こります。

また認知症についても同居していなければ、わからないことが多く気づいた時にはかなり進行してしまっていたなどということもあるのではないでしょうか?

 

このように家族の介護は突然に始まることがあります。

現在は親と同居する家庭は減ってきています、親に介護が必要になった時は遠距離介護になるということも考えられます。

元気なうちから介護予防の対策をしたり、もし介護になったらどうするかを家族で相談しておくことが重要です。

 

・事前に介護になった際に相談できる場所を確保しておくこと。

・介護になった時にどうするかを考えておくこと。

・できれば、親とも介護になった時にどうするかを相談して、親の希望やご自身のご家庭の状況をもとにプランをいくつか考え

   ておくこと。

 

上記の対策をしておくだけでも、その時がやってきたときに慌てることなく対応ができます。

 

遠距離介護に関するブログ①

遠距離介護に関するブログ②

仕事と介護の両立支援制度について

育児介護休業法では、仕事と介護の両立支援のための各種制度の基準を定めています。

 

働きながら、介護をしている方の代表的な支援制度としては

①介護休業

②介護休暇

③所定外労働の免除

④転勤に対する配慮

⑤不利益取扱いの禁止

などがあります。

 

※勤務先の労使協定の定めによっては、勤続年数が1年未満の方など、取得出来ない場合があります。


制 度 概 要
 介護休業  労働者は、申し出ることにより対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として介護休業を取得することが出来ます。
介護休暇 対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、半日単位で取得できます。
所定外労働の免除 要介護状態にある対象家族を介護する労働者は、所定外労働の免除を請求することが出来ます。1回の請求につき1月以上1年以内の期間で請求できます。
転勤に対する配慮 事業主は就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合、その就業場所の変更によって介護が困難になる労働者がいる時は、その労働者の介護の状況に配慮しなければいけません。
不利益取扱いの禁止 事業主は、介護休業などの申出や取得を理由として解雇などの不利益取扱いをしてはなりません。

※勤務先の労使協定の定めによっては、勤続年数が1年未満の方など、取得出来ない場合があります。

 

育児介護休業法の改正について

 

突然の親の入院などで介護が始まる場合には、すぐに退職を考えるのではなく、この介護休業制度などを活用して、休業期間に要介護認定や介護保険制度の利用手続きを進めて実際にどの程度の介護が必要かを試してみるのもいいでしょう。

 

また近くの地域包括センターやケアマネージャーに、働きながら介護をした旨伝えた上で対応策を考えてもらうとよい提案が聞けるかもしれません。

 

家族の介護に直面して途方に暮れることがないように、事前に相談先の確保や介護保険、勤務先の休業制度など活用できる制度の情報を得ておけば慌てることなく対応が可能です。

 

親の介護に直面して途方に暮れることがないように、お役に立つことが出来ればと思っています。